月別アーカイブ: 2007年7月

告知

午前中は顧客先で打ち合わせ。午後会社にもどり、クリニックに検査結果が出ているか確かめる。

検査結果は出ているようだ。そのあと、仕事をした記憶はない。作業票は適当にごまかした。

柄にもなく、親より先に死んでしまうのはどんな気分だろうかなど考えていた。

定時後、すぐにクリニックに向かう。普段は定時で帰れることはほとんどないが、今はそれどころではない。

 

精巣腫瘍で検査する腫瘍マーカーは通常3種類。病期Ⅰでもある程度進んでいないとマーカー値は上がらないようだ。

何となく、マーカー値はまだ上がっていないだろうと楽観していた。

クリニックに着く。ほとんどの人が呼ばれてから3分程度で診察室から出てくる。そして私の名前が呼ばれる。

気のせいか空気が重たい。まずは結果を聞く。

「AFPの値がよくありません。正常値は10以下ですが、346あります。」

そのあとも、いろいろ説明が続いた。かなり回りくどく、大変な病気であることを説明していた。

「これがいわゆる癌の告知かぁ」と他人事のように聞いていた。なぜか冷静に聞くことができた。

説明があまりにも回りくどいので、「要するに精巣腫瘍ですよね」とこちらから言ってしまった。(怖くて「癌」という単語は使えなかった)

そのあとは話が早く、手術が必要なので、大きな病院で診てもらえばすぐに手術日が決まるだろうとのこと。

病院は紹介してもらえるのかと思っていたが、自分で決めていいとのこと。やはり紹介してほしいと頼んだが、「精巣腫瘍の手術は難しくないので、市立病院程度のところの泌尿器科ならどこでもできる。むしろ身近な人が通いやすいことを考えて決めたほうがよい。」とのことだった。

 

その日の夜、妻と相談し、最寄駅から地下鉄で20分程度で、妻の通勤途中にある病院を選んだ。

眠れない夜

 腫瘍マーカーの検査をするということは、がんの疑いがあるということだ。

 

土曜日はなるべく考えないように過ごした。

 

日曜日は妻に見つからないように自宅でこそこそとインターネットで調べてみた。

 

 ■症状や特徴について

  ・痛みや発熱を伴わない睾丸の腫れ

  ・15歳から35歳が発症のピーク

  ・10万人に1人から2人くらいの珍しい病気

 ■治療方法について

  ・まずは摘出手術

  ・がんのタイプ(セミノーマか非セミノーマ)によってその後の治療が異なる

  ・セミノーマではっきりとした転移がない場合は、放射線治療または経過観察

  ・非セミノーマかセミノーマでも転移がある場合は、化学療法

 ■予後について

  ・がんの中でも精巣腫瘍は予後がかなり良好

  ・セミノーマのほうが比較的予後が良好

  ・それでも5年生存率90%(※)

   (5年後に10人に一人はなくなっているということだ)

 

無痛で睾丸がはれてくるという症状に当てはまっている。 ますます心配になる。

 

月曜日

全く仕事が手に付かない。定例の打ち合わせをなんとかこなすが、自分が突然入院ということになったら、仕事はどうするのだろうなど考えてしまう。

ものもらいの診察に行くとうそをつき定時退勤し、漫画喫茶で精巣腫瘍についてさらに調べてみることにした。

今回は、ブログをメインで調べてみた。(個人のブログはかなり役に立った。私がこのブログを作成しようとした理由でもある。)

 ・外来で受診して即日手術した人

 ・セミノーマで睾丸が7センチほどの人で、経過観測している人(私もすでに7cmほどあった)

 ・転移があり、化学療法をおこなった人

ほとんどの人が既に治療が完了し、経過観測か、完治の人だった。

今のがんかもしれないという、苦しい状況ではなく、早く治してしまいたい。そのためにはまず行動を起こすこと。

血液検査の結果は水曜日に聞く予定だったが、結果が出ていれば明日(火曜日)にでも聞きに行こう。

 

 ※病期によって異なるようだ。転移がなければほぼ100%。

 上記は転移がある場合の数字。

再診

 

4月に睾丸の腫れを医者に診てもらってから約3か月。

少しずつ小さくなっていくと言われていたのだが、少しずつ大きくなっている気がする。鶏卵のLサイズ程ありそう。計ってみると1番長い直径が7.5cmほどあった。

たまたま「ものもらい」で眼科に行くために定時で退勤したので、ついでに4月に行ったクリニックにも寄ってみる。

今度はエコーでかなり入念に調べた。結果は「血液検査をしてみましょう」とのこと。

少し笑ったのはエコーの写真を撮るときに、私に「合図したら写真を撮るボタンを押してくださいねー」と患者にやらせていた。

看護師はいないのか!

 

はじめは「血液検査」の意味をよく理解していなかった。

先生は「検査結果はなるべく早いほうがいいですよね・・」と言いながら、検査結果に何日かかるか記載のある冊子をパラパラめくっていた。

そして、日数を確認しているページの見出しが目に入った。

   『腫瘍マーカー』

!? 腫瘍=癌?

その日は怖くて検査内容について質問ができなかった。

次の水曜日に検査結果を聞くことにした。